「ありがとう」は人と人を結ぶ言葉。

しかばねチャレンジ! 連載6回目。

アルバイトを始めて、約3ヶ月。
やっと全体の流れがわかり、仕事にも慣れてきました。
ミスして怒られていたことも出来るようになってきました。
続けることは大事なことです。

同時期に始めた人の中には、辞めた人もいます。
いつの間にか来なくなった人もいます。
健常者であっても、辞める人は辞めるものです。
そこに「障害」や「健常」の境目はないのかもしれません。


3ヶ月続けて、ひとつ、わかったことがあります。
それは「いかに、人間関係を良好にするか」です。

3ヶ月経つまで、
作業に慣れることで精一杯で「会話」を楽しむ余裕がありませんでした。

そうすると、
単純に怖い先輩からミスを指摘されて怒られて注意されての繰り返しで
ちっとも楽しみがありませんでした。

先輩の人柄もわからず、
ただただ「注意される」「怒られる」ことを避けるために精一杯だったので
ビビってばかりいました。

でも、だんだん会話をするようになってみると
先輩たちの性格やプライベートもわかるようになって
「怖い先輩」から「チャーミングな先輩」に印象が変わるようになりました。

当たり前なことですが、
先輩ひとりひとりに個性があって
先輩たちにも苦手なことがあるのを知ったり
社内での人間関係がわかるようになってきたり
逆に先輩からプライベートな相談をされたりすると
「お互い様」という関係ができてきます。

そうすると、
「注意する」「怒る」から「アドバイス」に変わっていきました。

「〜すると、もっと簡単に出来るよ」
「〜すると、もっと早く操作できるよ」
「このお客様は常連さんだから、できれば〜するといいよ」

いろんな経験から、ステキなアドバイスをしていただけるようになりました。

以前なら
「遅い!もっと操作をスムーズにしないとあかんよ!」
「勉強不足!もっと復習してきて!」
と言われていたことが
「この操作をした方が、この画面を見た方が、もっと早くできるよ」
「こういう時は、こう説明する方がいいよ」
に変わり始めました。

発達障害の私自身は、仕事に慣れてきただけで
ミスは毎回必ず1つ以上はします。

でも、言われることが全然違います。
「これって、なんでだろう?」と考えてみたら
人間関係」にたどり着きました。


「人間関係」を良好にすれば、居心地の良い職場環境ができあがります。

でも、発達障害の人は「コミュニケーションが苦手」です。

それでも、「人間関係」を築くために「会話力」は必要だと思います。
なんでもいいのです。
自分のことを話すことから始めてもいいのです。
「あいづち」をうつことから始めてもいいのです。

会話スキルを磨くことで、職場環境もとてもよくなると思います。

私がアルバイトを始めてから、常に使っていた言葉があります。
それは、「ありがとう」です。

怒られても、注意されても「申し訳ございません」の後に
「指摘していただいて、ありがとうございます」
と言っていました。

仕事終わりには
「今日はご指導いただき、ありがとうございました」
「また、いろいろご指導お願いいたします」
とお礼を言っていました。

そうしていると、
だんだんと先輩から話しかけてくださるようになりました。

「朝倉さんは、普段の仕事は何してるの?」
「朝倉さんは、どこに住んでいるの?」
「朝倉さんは、これ出来る?」

それに答えていると、ほんの少しだけ距離が縮まりました。

そして、仕事に慣れてきて、時間ができてきたら
私も同じような質問を先輩にしてみました。

「どちらにお住まいなのですか?」
「どうやって通勤されているんですか?」
「〜をもっと出来るようにしたいんですが、どうしたらいいですか?」

お互いのプライベートも知るようになってきたら
おのずと「仲良く」なっていきます。

そして、真面目に勤め続けていたら
ミスをしても
「〜しておいたら、大丈夫やで」
と声をかけてくださる人も出てきました。


見ている人は、ちゃんと見てくださっているのです。

私は、いろんな場面で「ありがとう」とお礼を言います。

怒る人も、注意する人も、
それを楽しんでしている人はほぼいないと思うのです。

自分の仕事をしながら、
後輩の仕事にも気を配って見ていてくださるからこそ
ミスにも気づいてくださっているわけで、
とても気にかけてくださっている証拠だと思うのです。

自分の仕事をしながら、他にも気を配るのは大変なことだと思います。
怒りたくて怒っている人は、少ないと思うのです。

だから、みんながみんな、悪い人だとは思いません。
注意する人にも、指導係としての役割としてしている人もいるはずです。

だから、私は「ミス」して「怒られ」ても
めちゃくちゃ凹むことはありません。

そりゃー、ちょっとは気になって自己嫌悪になったりして、
自宅に帰っても失敗したことを思い出しては
「あー!やってもーたー!」
と、叫ぶこともあります。

でも、それだけ。

そして、それを仕事を3ヶ月続けてみたら
今は気を遣ってくださる先輩が出てきました。

とってもありがたいことです。


継続は力なり

まさに、それが徐々にいろんな関係に出てきました。

私は、ただの「アルバイト」から「準社員」になりました。
「トレーニング中」のバッチを外す試験を近々受けることになりました。
社員さんがたくさん話しかけてくださるようになりました。

人間関係がうまくいき始めてから、
仕事がしやすくなりました。

仕事が楽しくなってきました。

その循環がうまくいけば、きっと仕事もしやすくなると思うのです。

ADHDですから、ミスがなくなることはありません。
でも、出来るだけしないように、「チェックリスト」を持ってしています。

ミスしてしまったことは、仕方ありません。
それをフォローする方法も身につけておくのです。

それも出来ていれば、ミスしても
「もー、自分で挽回してやー!」
で、なんとか怒られなくて済みます。

発達障害の人が働くためには、「職場環境を良好」にすることは必須です。

でも、
「誰か良好にして」ではなく、
「自分から良好な関係づくりをしよう」とすることも大切だと思うのです。

待っているだけでは、何も始まりません。
なんでも「自分から」何か働きかけてみることです。

まずは、「ありがとう」と伝え続けることからでも大丈夫。
人と人を結ぶ、魔法のことば、だと思いますよ。

朝倉美保
(広汎性発達障害・アスペルガー・ADHD・双極性障害 当事者)