「自閉スペクトラム症(ASD)」とは?

<自閉スペクトラム症(Autism Spectrum Disorder:ASD)>

まずは「スペクトラム」とは、どういう意味でしょう?

【国語辞典】
意見・現象・症状などが、あいまいな境界をもちながら連続していること。

と、書かれています。

と、いうことは、
「自閉スペクトラム症」は、あいまいな症状を合わせ持つ病名なのです。

だから、「個人差」が大きく、
ひとりひとり違った症状を持ち、それぞれに合った対応が必要になります。

患者それぞれの「特性」をしっかりと把握することが
治療の第一歩になります。


<どんな病名があるの?>

・自閉症
・アスペルガー症候群
・特定不能の広汎性発達障がい
・小児期崩壊性障がい
・言語障がい
・緘黙症       などがあります。

典型的には、
「相互的な対人関係の障がい」
「コミュニケーションの障がい」
「興味や行動の偏り(こだわり)」  の3つの特徴が現れます。

最近では約100人に1~2人存在すると報告されています。
男性は女性より数倍多く、一家族に何人か存在することもあります。
さらに「知的障がい」や「言語障がい」を伴う場合と伴わない場合があります。
これらの症状は発達段階、年齢や環境などによって大きく変化するともいわれています。
(引用:厚生労働省 http://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_develop.html


<何歳からどんな症状が出るの?>

◆幼児期

主に、「1歳を過ぎた頃」からサインが現れ始めます。

□人の目を見ることが少ない
□指さしをしない
□ほかの子どもに関心がない
□人見知りをしない。または、異常に人見知りをする。
□表情が乏しい
□初めてのことや、決まっていることの変更が苦手
□2歳を過ぎても、意味のある言葉を話さない

などがみられます。

保育所や幼稚園に入ると、

□一人遊びが多い
□集団行動が苦手
□興味や行動にこだわりがある
□自分の話したいことしか話さない
□会話がつながりにくい
□好きなこと、気に入っていることは、ずっとしていられる

このような、人との関わり方が独特なことで気づかれることがあります。

◆思春期・青年期

自己形成がされていく時期に入ることによって、
保護者が気づくのではなく、本人の自覚が生まれてきます。

□自分と他の人との違いに気づく
□対人関係がうまくいかない
□臨機応変が苦手
□コミュニケーションが苦手
□集中しだすと時間を忘れてしている(過集中)

などに気付き始め、
社会の中で孤独感を感じたり、孤立してしまう場合も出始めてきます。
この頃になると、「二次障害」に気をつけることが重要です。

周囲からの理解を受けて成長した人たちの中には
成長とともに症状が目立たなくなる人もいますし、
自分の能力の凸凹をうまく活用して社会で活躍する人もいます。


<診断はどうやったら出るの?>

診断の仕方は、「子ども」と「大人」では異なってきます。
発達障がいの支援をするにあたっては、年齢によって分けることが重要になってくると考えています。

◆子どもの診断

子育て支援センターや保健センターなどで、検査のできる機関を紹介してもらってください。
病院によっては、検査できる年齢が異なっていることもありますので、一度問い合わせをされてから検査されることをお勧めします。
また、現在、検査を希望される方が多いため、申し込んでから検査までに時間がかかることもあります。その間は、「家庭でできる療育」もありますので、そういうことを取り組んでみてはいかがでしょうか?

(雑誌「きらり。」や、この「みのり」でもご紹介しています)

■問診・行動観察
本人にどのような症状があり、どんな困りごとがあるか行動観察を行ったり、
生育歴について問診を行います。
子どもの場合は保護者に聞き取ることが多いです。■行動観察
遊びの空間で子どもを自由に遊ばせ、それを注意深く観察することや
保護者の方へのインタビューを行います。■生育歴
生まれてから今までの社会性や対人コミュニケーション、言葉の発達、
幼稚園・保育園での様子や1歳半健診・3歳児健診での様子などの聞き取りをします。
それに基づいて、発達面で知的障がいの疑いがありそうか、発達にどんな特性がありそうかなどを見立てていきます。■発達検査

子どもの心身の発達の度合いを調べる検査です。
本人にどのような発達の特性があるか、どこに困難があるかを客観的に見るために、用いられることが多い検査です。
様々な側面から子どもの発達度合いを評価し数値化することによって、助けが必要な部分を見つけることができます。検査にはさまざまな種類があり、
検査ごとに検査結果の表現方法や評価の仕方が異なります。
現在、日本では「新版K式発達検査」や「遠城寺式乳幼児分析的発達診断検査」などが使用されることが多いです。さらに詳しく特性を調べる場合や支援の方法を探りたい場合、このほかの発達検査が用いられることもあります。
・ADOS(エイドス)、ADI-R、PARS-TR、Vineland
・知能検査、脳波検査、感覚プロファイル など

◆大人の診断

子どもと同じく、検査機関が限られており、検査の申し込みをしてからも長期間待たされる可能性が高くなっています。
地域の発達支援センター、福祉課などに検査機関の問い合わせをし、まずは連絡をしてみてから診療所を選んでみてください。
■生育歴
ご自分の生育歴の聞き取りが行われます。
病院によっては母親の同行を求められることもあります。
母子手帳や日記など、今まで過ごしてきた履歴が残っているものを持っていくといいでしょう。AQテスト
WAIS-Ⅲ(ウェクスラー成人知能検査改訂第3版):知能検査
全検査IQ
言語性IQ
動作性IQ
群指数
■脳波検査 など、病院や症状などの自覚などによって、検査項目は変わってきます。
医師によっても異なることもあるようです。

<診断されたら、どうするの?>

子どもの場合、「療育」を受けることができます。

しかし、まだまだ療育の現場も不十分な点が多く、任せっぱなしではなかなか良くならない、というお声も多く聞きます。

私たちでは、「療育」も受けながら「家庭内療育」を推奨しています。

例えば、「家の整理整頓」を行う、「家庭内の遊びを工夫して、感覚を磨く」などです。

小さな頃から「手先を使った遊びをすること」「自由な発想で遊ぶこと」
そして、物が「整っている」環境で過ごすことで、
子どもは安心感を得、少しずつですが変化が現れると言われています。

そして、ご両親はお子さんの「特性」をしっかりと把握し、受け入れ、
どう対応していくのがいいか試行錯誤してみてください。

ご両親が受け止めてくれる、受け入れてくれるという愛情が、子どもに安らぎを与えることにもつながります。

※子どもの発達障がいについては「マリアさん」の方が詳しいので、
コラムをぜひ読んでみてください。


大人の場合、
まずは自分の「特性」を書き出してみましょう。
何に「生きづらさ」を感じたのか、「社会に適応できない」と感じたのか?

もし、自分では気づかないことがある場合、
通院している医師や診断した医師にどんな特徴が検査で出ていたかを聞いてみるのも一つです。

「特性」を書き出したら、次にするのは「苦手なこと」を書き出すこと。
そして、その反対の「得意なこと」も書き出してみましょう。

大人になってからでも、トレーニング次第で苦手なことを気にならない程度にすることはできます。そのためには、細かく「どうしたらできるようになるのか」指導してもらう必要が出てきますので、専門の方に指導を仰いで見るのもいいかもしれません。

社会に出ている人が多数でしょうから、
今、何か支障が出ているのであれば、その改善を促す必要があります。
理解ある上司であれば、診断、特性、得意なことなどを相談することで改善することもあると思います。

しかし、苦しんでいる人のほとんどが、改善しにくい環境にいる、ということでしょうから、その場合には転職を考えてみるのも一つだと思います。

簡単に、転職、といっても、すぐにできるものではないかもしれませんが、
医師と相談しながら、二次障害にならないような対策を考えていくことが必要だと思います。得意、不得意は個人差があり
「こんな職場がオススメです」とは書きにくいのですが、
マニュアルがしっかりしているところや
指示・指導をはっきりと言ってくれるところを探してみるといいかもしれません。コミュニケーションで困っている方は、
昼休みの過ごし方や休憩のとり方などを質問してから入社を決めることも必要かもしれません。入社前に、しっかりと社内の環境、人間関係などを質問してから決めてみてはいかがでしょうか。大人の場合、障がいをオープンにして就職するか、クローズで就職するか、悩みどころだと思います。

一人で悩まず、医師や専門家などに相談してから決めてみるのも一つだと思います。

学生の場合も、同じような悩みがあると思います。
スクールカウンセラーを利用しながら、どう特性を適応させていくかを相談してみるのもいいかと思います。

学校の先生では、まだまだ理解が深くないことが多いので、
面談の時を利用しながら、ご両親と一緒に理解を促していくことも必要なことかもしれません。

人それぞれで対応が異なるので、
まだまだ書き切れてないことがたくさんあるのですが、
何か、他にアドバイスが欲しい、などリクエストがありましたら
遠慮なくメールでお問い合わせくださいませ。

心理カウンセラー・「きらり。」編集長
朝倉美保

info@minorinomori.co.jp